2023.04.03
立原えりか 作 安田隆浩 絵 岩崎書店 1997年
今年は桜も早かったのですが、あんずもやはり早かったようです。
信州千曲市には日本一のあんずの里があります。見頃の時期にぜひ出かけたいと願いつつ、まだ叶いません。
立原えりかさんのこの名作童話の舞台はきっとここに違いないと思っているのですが・・・。
腕のいいどろぼうは盗んだ宝石をポケットに入れて花ざかりのあんず林に迷い込みました。目に映るのは薄桃色の花と真っ青な空。あんずの花の甘いにおいに包まれていると、自分はこんな所ににいてはいけない、花のない所に行こうという気持ちに。急ぎ足で歩いていると、木の下に赤んぼうがいます。すて子でした。
赤んぼうはどろぼうをみつめてにこにこ笑います。四十年の人生で人からほほえみかけられたことのなかったどろぼうの目からとめどない涙がこぼれ始めます。
生まれつきのどろぼうなんて、いないのですよね。