2023.04.07
きむらゆういち 作 あべ弘士 絵 講談社2000年
荒れ狂った嵐の夜、壊れかけた小さな小屋で、ヤギとオオカミが出会った。
真っ暗でお互いの顔は見えない。
だんだん会話が弾んでいく。子どもの頃の思い出話もした。
「ハハハ、わたしたち、ほんとに よくにていますねえ。」
「へへへ、ほんと、まっくらで おたがいの かおも みえないっすけど、じつは かおまで にてたりして。」
嵐が去った後の天気のいい明日のお昼にいっしょに食事をしようということになり、
小屋の前で待ち合わせをすることを約束する。
夜明け前に小屋を出た二人は翌日の合言葉を「あらしのよるに」と決め、顔を見ることなく別れて行く。
「顔」が見えないということは先入観を持たないということなのでしょうか。先入観に支配されなければ、人は仲良くできるのかもしれないのですね。
この物語を「平和のつどい」で公募で集まってくださった70人の市民のみなさんで群読いたしました。構成・演出・指導を担当した大切な作品です。