2023.04.09
こんのひとみ 作 いもとようこ 絵 金の星社 2004年
この小学校では毎朝くまこうちょうせんせいが迎えてくれます。
「おはよう!」「おはようございまーす!」「おはようございまーす!」みんなは元気に答えます。
でも、ひつじくんは小さな声でしかあいさつができません。こうちょうせんせいは言いました。「ゆうきを だしてごらん。いつか おおきなこえで おはようが いえるようになるよ」
こうちょうせんせいは病気になって入院してしまいました。ひつじくんは、自分が大きな声でおはようを言えなかったから、こうちょうせんせいはがっかりして病気になったのかもしれないと思いました。
こうちょうせんせいは病院から学校に通わせてほしいとお医者さんに頼みました。
久しぶりにこうちょうせんせいが出迎えてくれています。みんなは大きな声であいさつをしますが、こうちょうせんせいの声はとても小さな声でした。
ひつじくんはやせて小さくなったこうちょうせんせいを見ていたら声が出ませんでした。
がっこうの帰り道、こうちょうせんせいが一緒に行こうとゆっくり歩いてきます。そして、病期になって、大きな声を出そうと思っても出せないときがあることがわかった、大きな声を出そうっていっぱい言って悪かったと謝りました。
山の頂上でこうちょうせんせいが突然うずくまってしまいます。
「たすけてー!こうちょうせんせいが たいへんだー!」ひつじくんは大きな声でむちゅうで叫びました。やまびこがひつじくんの声をびょういんまで運んでいってくれました。
これは実際のことを元にしたお話です。病気になっても学校に通い、命の授業を続けた校長先生は、子どもは明るくて元気なものだと大人は思い込んでいる、本当は小さくて弱い子どもたちを守るのが大人の役目だとおっしゃいました。