2023.06.06
内田麟太郎 文 ザ・キャビンカンパニー 絵 文渓堂 2022年
内田麟太郎さんの『むかしむかし』シリーズの第5巻。
花さかじい、つるのおんがえし、はちかつぎひめが収められています。
私はとりわけ「はちかつぎひめ」に魅かれています。
小さい頃からなんて不思議なお話でしょうと思っていました。当時の絵本の挿絵も脳裏に焼き付いています。
改めて内田さんの文章でこのお話を読むと、少しわかったような・・・気がします。そして、昔の地位のある人の暮らしも垣間見えて、それも興味深く思えます。娘にはちをかぶせて亡くなっていったお母さんの気持ちにも寄り添うことができる自分がいます。
内田さんのこの物語の中で最も美しい場面は、はちかつぎ姫が求愛を受けてそれを受け入れようとする心の変化を表現した箇所ではないかと思います。何度読んでもとろけそうになります(笑)。
このシリーズを全巻集めると、5巻が色とりどりの装丁なので、本棚に並べておくのが嬉しくなります。朗読教室のテキストにもよく用いさせていただいていますが、受講生の皆さまに「インテリアにもなりますよ!」と宣伝しています。
大人のための昔話、ぜひ手に取ってお読みください。