2023.07.14
マーカス・フィスター 作 谷川俊太郎 訳 講談社 2010年
本物のがんばりやの魂をもった「ちびがらす」の物語。
ある日、卵から見たこともない小さなからすが生まれました。
ちびがらすは仲間と遊びたがりましたが、「おまえは まだ とべも しないだろ!」と相手にされませんでした。
そこでちびがらすはいっしょうけんめい飛ぶ練習をしました。体が小さいので、どんどんうまくなりました。
ちびがらすは聞きました。「そろそろ なかまに いれて くれる?」
仲間の一羽が、月まで飛んでいって帰ってきたら遊んでやるよと言いました。
その晩、ちびがらすはじっと月をみつめていました。そしてとうとう飛び立ちました。高く、高く。
あくる朝、ちびがらすはかしの木のそばのいけがきに横たわっていました。
仲間はかがんでちびがらすをのぞき込んでいます。母がらすがすすり泣いています。
すると、突然ちびがらすが目を開けました。生きていたのです。
ちびがらすはみんなに呼びかけました。「おいでよ。あそぼう!」
ちびがらすの翼には銀の羽が輝いていました。