2023.07.16
内田麟太郎 文 沢田としき 絵 佼成出版社 2009年
ここは離島でしょうか。
島の少年は汽船が来る岬に向かって走ります。
道の途中に恐竜のぬいぐるみが落ちていました。横目で見て走り続ける少年。
しばらく行くと雨が降り出しました。少年はぬいぐるみのところまで戻り、拾い上げます。
「きせんが くる」。ひたすら少年は走ります。土砂降りになり、バス停で雨やどり。
雨があがって、少年はふたたび走り始めます。ぬいぐるみをしっかり握って。
汽船には間に合わなかった。ぬいぐるみに見せます。「うみだよ」。
少年の短いつぶやきだけの文字表現。生命力にあふれた絵。
ページをめくるたびに少年の足音、雨音、草いきれ、潮の香りに包まれます。