絵本日記「1年365冊」

『どろぼうねこのおやぶんさん』 | 言の葉のうつわ

『どろぼうねこのおやぶんさん』

2023.08.12

小松申尚 文  かのうかりん 絵  文芸社 2020年

町の商店街をなわばりにしている猫。名前を「どろぼうねこ」と言います。

魚屋のおじさんとは顔なじみ。今日も「さんまをぬすんでいっていいかい」と声をかけています。

おじさんは1匹だけならいいよと答えました。

ある日、電気屋さんの店先からテレビの天気予報が聞こえてきました。

「はれのち、さんま。ところにより、さば。」

どろぼうねこが西の空を見上げると、うろこの形をした雲がもくもくと流れてくるのが見えました。

魚屋のおじさんが思案顔でどろぼうねこに声をかけてきました。

「さんまがただで空から降っちゃ、商売あがったりだ。何とかできないものかねえ。」

ふだんお世話になっているからひとはだ脱ぐことにしよう。

そこでどろぼうねこは何十匹ものねこを集め、それぞれの場所で待機させます。

さあ、さんまが降り始めました。お腹を空かせていたねこたちは次から次と平らげていきます。

やがて、空は晴れ渡り、ねこたちは満腹。

それからというもの、さんまが降ることはありませんでした。

商店街は平和をとりもどしました。

『どろぼうねこのおやぶんさん』 | 言の葉のうつわ 『どろぼうねこのおやぶんさん』 | 言の葉のうつわ

お問い合わせ

講演依頼や読み聞かせなど
お気軽にお問い合わせください