2023.08.17
川端誠 クレヨンハウス 1994年
晩夏になると、そろそろ怪談やお化け屋敷もシーズンオフになりますでしょうか。
名残を惜しんで、落語絵本の怖―いお話を。
大店のご隠居さんが奉公人の久蔵さんをつれて古い大きな屋敷に引っ越してきました。
ここはお化け屋敷と噂されているのですが、ご隠居さんは一向に気にしません。
久蔵さんはびくびく。引っ越しが終わると久蔵さんは暇を願い出ました。
「ほんとにでるのかなあ・・・、でないと、久蔵にやめられただけそんをしたみたいで・・・」
さっそく一つ目小僧が出ました。ところが、ご隠居さんはちっとも怖がりません。一つ目小僧にご飯を作らせました。食べ終わったら後片づけもさせて、寝る前には肩をたたかせました。
次の晩にやって来たのはろくろっ首。洗濯、裁縫、着物の整理を次々と言いつけます。
翌晩現れたのは三つ目の大入道。庭石の移動、屋根のごみを吹き、石灯籠を運び、最後は小指で肩たたき。
その次の晩はどんなばけものがやってくるのかと待っていたご隠居さんの前に現れたのは、旅支度をした一匹のたぬきでした。
「まいにち、ここへまいっているものでございますが・・・じつは、おひまをいただきたくて・・・」
「あなた様ほどばけものつかいのあらいおかたは、ございませんので」