2023.09.14
メアリー・リン・レイ 文 バーバラ・クーニー 絵 掛川恭子 訳 あすなろ書房 2000年
大切に大切にしている絵本です。
メアリー・リン・レイさんは作家であり、環境保護活動家でもある人です。
この作品は絵本作家のバーバラ・クーニーさんの最後の作品となりました。
舞台は100年以上前のアメリカニューヨーク州の山あいの村。
とうさんはかごを編んで生計を立てていた。満月の夜に家を出てハドソンに売りに行く。
ぼくもついていきたかったのだけれど、とうさんはいつも「もっと大きくなったらな」と言った。
9歳になったとき、とうとうぼくは町へつれていってもらうことになった。
始めてみる町は色の洪水だった。
かごを売ったお金でとうさんはかあさんに頼まれた食料品を買った。かごをつるしていた棒にこんどは食べ物をひっかけて、家に帰る。
広場にさしかかったとき、父と息子は蔑みの言葉を浴びせられ、嘲笑された。
でも、とうさんは黙って歩き続けた。
ぼくはハドソンになんか二度と行くものかと思った。
そして、納屋に積んであるとうさんのかごを蹴飛ばした。
村のおじいさんがぼくに言った。「風はみている。だれを信用できるか、ちゃんとしっているんだ」
人生に大切なこととは、惑わされずに生きることとは、本当に尊敬できる人とは・・・心を曇らせないように歩んでいきたいと思わせてくれる絵本です。