2023.10.17
長田弘 著 グスタフ・クリムト 絵 クレヨンハウス 2010年
長田弘の「花を持って、会いにゆく」と「人生は森のなかの一日」の詩2篇に、ウィーン世紀末美術の画家、グスタフ・クリムトの絵が対になった作品。
長田さんのあとがきから引用します。
「亡くなった人が後に遺してゆくのは、その人の生きられなかった時間であり、その死者の生きられなかった時間を、ここに在るじぶんがこうしていま生きているのだという、不思議にありありとした感覚。
・・・
心に近しく親しい人の死がのちに残るものの胸のうちに遺すのは。いつもときでも生の球根です。
喪によって、人が発見するのは絆だからです。」
この詩集は長田さんの奥さまの逝去の翌年に発行されています。
あとがきの最後には「故長田瑞枝の思い出に――。」と記されています。
この上なく美しい詩集です。
クリムトの描く樹木や花々の絵と長田さんの言の葉。それぞれの魅力が相まって崇高な美をつくりだしています。
私の愛蔵版です。