絵本日記「1年365冊」

『長田弘 詩ふたつ』 | 言の葉のうつわ

『長田弘 詩ふたつ』

2023.10.17

長田弘 著  グスタフ・クリムト 絵  クレヨンハウス 2010年

長田弘の「花を持って、会いにゆく」と「人生は森のなかの一日」の詩2篇に、ウィーン世紀末美術の画家、グスタフ・クリムトの絵が対になった作品。

長田さんのあとがきから引用します。

「亡くなった人が後に遺してゆくのは、その人の生きられなかった時間であり、その死者の生きられなかった時間を、ここに在るじぶんがこうしていま生きているのだという、不思議にありありとした感覚。

・・・

心に近しく親しい人の死がのちに残るものの胸のうちに遺すのは。いつもときでも生の球根です。

喪によって、人が発見するのは絆だからです。」

この詩集は長田さんの奥さまの逝去の翌年に発行されています。

あとがきの最後には「故長田瑞枝の思い出に――。」と記されています。

この上なく美しい詩集です。

クリムトの描く樹木や花々の絵と長田さんの言の葉。それぞれの魅力が相まって崇高な美をつくりだしています。

私の愛蔵版です。

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