2023.10.25
内田麟太郎 文 村田エミコ 画 佼成出版社 2009年
秋が深まってくると、この絵本がおはなし会に頻繁に登場します。
平和な暮らしとは、だれもが差別されることのない暮らしとは・・・山奥を走るバスが大きな投げかけをしてくれているように思えます。
乗る人が少なくなって廃線が決まったやまのバス。なじみのおばあさんと運転手のやまださんが最後の挨拶をかわします。
「たっしゃでな」「あんたもな」
やまださんは峠からつぶやきました。
「だれでもいいから のってくれたら、バスは なくならないのになあ」
そのつぶやきは風にのってあちこちに運ばれました。
すると、めったに人が乗ってこないバス停から次々と動物たちが乗ってくるではありませんか。
乗車賃がわりにヤマイモやニジマス、クリを持って。
山の幸はみんなに喜ばれ、バスを救いました。
人も動物もにこにこ顔で乗っている満員のバスの光景を見るたびに幸せな気持ちになります。