2023.11.30
肥田美代子 文 小泉るみ子 絵 文研出版 2014年
山の中の小さな村におばあさんが住んでいました。
子どもたちは町に出て行ってしまい。おばあさんはひとりぼっちで畑仕事をして暮らしていました。
ある日、おばあさんが畑から帰ってくると、押し入れにしまってあった箱が引っ張ろ出されて、歌が開いています。箱の中には、子どもたちが小さかった頃に読んだ絵本が入っていたのです。
久しぶりに懐かしい絵本を手に取って、おばあさんは夢中で読みふけりました。
その日からおばあさんは畑仕事の合間に、声を出して絵本を読むようになりました。畑の野菜も聞いているようです。
夜。おばあさんが戸締りをしようとしたとき、月明りに男の子が立っていて、絵本を読んでくださいと言うのです。
おばあさんは縁側に男の子を座らせてお気に入りの絵本を読んで聞かせました。そして、おばあさんは男の子に絵本を貸して、おうちで読んでもらいなさいと言って家に帰しました。
次の日も、次の日も、男の子は絵本を持ってやって来て、また別の絵本を借りていきます。
そんな晩が続き、おばあさんはどこの子だろうかと後をつけてみました。
木の根っこの洞穴をのぞきこんだおばあさんはびっくりぎょうてん。
・・・・・・
次の日、おばあさんはありったけの絵本を縁側に並べました。
「こんや、あの子が きたら すきなえほんを えらばせてあげよう。ほかの 子たちも くれば いいのにな。」