2024.01.04
西本鶏介 作 長谷川義史 絵 すずき出版 2006年
ぼくのいえは、おとうさんとおかあさん、おじいちゃんとぼくの四人家族。
おとうさんもおかあさんもお勤めをしているので、ぼくはいつもおじいちゃんといっしょです。
みんなは「ゆうたくんの おじいちゃんは おかあさんみたいだ」と言います。
大工さんだったおじいちゃんは、おもちゃも作ってくれます。
お風呂に入るのもおじいちゃんと。
湯船につかるとおじいちゃんは口ぐせみたいに「ごくらく ごくらく」と言います。
こんどのお休みに二人で山の温泉に行こうとおじいちゃんが言いました。
「いく いく!」とぼくは飛び上がって喜びました。
でも、温泉行きは中止になりました。
おじいちゃんの腰が急に痛みだしたのです。
詳しい検査のために入院することになった前日、おとうさんがおじいちゃんをかかえてお風呂に入れました。
ぼくも足を持ち上げました。
有名な温泉のお湯になる粉を入れたので、お湯は白く濁っています。
おとうさんは三人で山の温泉に入っているみたいだと言いました。
おじいちゃんはつむっていた目を開けて「ごくらく ごくらく」とつぶやきました。
湯上りにおかあさんのいれたお茶を飲んで、また「ごくらく ごくらく」。
おじいちゃんの入院する日は雪が積もって真っ白。
元気になって帰ってくると手を握って約束したおじいちゃんは、ほとけの国に行ってしまいました。
ぼくはおとうさんやおかあさんとお風呂に入るようになりましたが、お湯につかるとおじいちゃんのまねをします。
「ごくらく ごくらく」