絵本日記「1年365冊」

『半日村』 | 言の葉のうつわ

『半日村』

2024.01.15

斎藤隆介 作  滝平二郎 絵  岩崎書店 1980年

斎藤隆介さんの創作民話で、教科書にも掲載されています。滝平さんの切り絵とともに、多くの人に親しまれています。

寒い寒い村があった。半日しか日が当たらないので、えらく寒い。

お昼ごろになってお日さまが山のてっぺんから顔を出すと、ようやく村にぱっと光がさす。

でも、すぐに夕方になり、また寒い寒い風が吹いてくる。半日村のお米はよその村の半分しかとれなかった。

その村に一平という子どもがいた。ある日一平は袋をかついで山に登った。そして、てっぺんの土を袋に入れて降りてきて、その土を湖にあけた。

一平が毎日休まずそうしているのを見て、まねする子どもたちが出てきた。だんだん人数が増え、ついに大人たちも。

何年も何年も経ち、とうとうある日朝日が村にさしこんだ。

半日村は一日村と呼ばれるようになった。

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