2024.01.25
竹下文子 文 鈴木まもる 絵 ハッピーオウル社 2006年
ぼくはいす。ちいさい子ども用のいすです。
以前は山に立っている一本の木でした。
ぼくをいすにしてくれたのは家具づくりのおじいさん。「ちいさい こどもと なかよくしてくれよ」おじいさんはぼくをなでてくれました。
ぼくを買った女の人は、あかちゃんが生まれたばかりの親戚の若い夫婦にぼくをプレゼントしました。
あかちゃんとぼくはすぐに仲良しになりました。
ぼくは車になったり、トンネルになったりしました。楽しいときはいっしょに笑い、悲しいときはだっこして慰めてあげました。
おかちゃんが大きくなってもずっと仲良しでしたが、いつかぼくは物置に連れていかれました。
ぼくは逃げ出し、歩き続けました。
そんなぼくを拾ったのはおばあさん。おばあさんはぼくに人形を座らせました。でも、人形は笑うことなく、ただ座っているだけ。
ある日、おばあさんは病気になり、ぼくは古道具屋に。
店頭にいるぼくをみつけたのは、ずっとまえに見たことがあるような気がする若い男の人と、お腹の大きな奥さんでした。二人はぼくを買って帰りました。
なんて すてきなんだろう。