2024.01.29
寺村輝夫 作 長晋太 画 福音館書店 1984年
卵がだいすきな王様がいました。卵焼きを朝も昼も夜も食べていました。毎日、毎日。
王様のうちに赤ちゃんが生まれました。王様は大喜びをして、三人の大臣を集めて申しつけました。
「国じゅうの人たちを、おしろにあつめて、うんとごちそうしてあげよう。」
ごちそうは卵焼きに決まりました。国じゅうの人たちにごちそうするのですから、なん百、なん千もの卵がいることでしょう。
ワン大臣がぞうの卵なら大きな卵焼きができると言いました。
ワン大臣は家来とともにぞうの卵を集めに何台ものトラックで出かけました。
ツウ大臣は巨大なフライパンを作らせました。ホウ大臣は家よりも大きなかまどを作らせました。たき木もトラックで運んできて、用意万端整いました。
あとは、ぞうの卵です。
ワン大臣と家来たちは大草原でまずは子どものぞうをみつけました。でも、卵はみつかりません。
「これだけさがしても、ぞうのたまごは、なかった、しかたない。この子ぞうをつれて、おしろへかえろう」
そして、やっと気がついたのですよ。ぞうは卵を産まないって。