2024.02.03
あまんきみこ 作 いわさきちひろ 絵 ポプラ社 1969年
節分の夜、まことくんが元気に豆をまいています。「ふくは— うち。おにはー そと。」
家じゅうに丁寧にまいてから、物置きにもまかなくちゃと向かいました。その物置小屋の天井に、去年の春から黒鬼の子どもが住んでいました。「おにた」という名前です。
おにたは気のいい鬼でした。まことくんがなくしたビー玉をこっそり拾ってきてやったり、にわか雨のときには干し物を茶の間に投げ込んでおきました。
豆まきの音を聞きながら、おにたは古い麦わら帽子をかぶりました。つのかくしのためです。
おにたは物置小屋を出ていきました。粉雪が降る寒い晩です。
いい家がないかなあと、おにたは探しましたが、今夜はどの家もひいらぎを飾っているので、入ることができません。目が刺されるからです。
豆の匂いもせず、ひいらぎも飾っていない小さなトタン屋根の家をみつけました。
家の中ではお母さんが熱を出して寝ていました。女の子が雪で冷やしたタオルを額の上にのせてあげました。うっすらと目を開けたお母さんが「おなかがすいたでしょう」と聞きます。
女の子は「さっき、食べたの。知らない男の子があったかい赤ご飯とうぐいす豆を持ってきてくれたの。節分のごちそうが余ったって。」と答えました。
おにたはかんからかんに乾いた台所を見て、外に飛び出していきました。
入り口をトントン叩く音がします。女の子が戸を開けると、雪まみれの麦わら帽子をかぶった男の子が、ふきんをかけたお盆を差し出しました。「節分だから、ごちそうが余ったんだ」と、さっき聞いたとおりに言いました。お盆には赤ご飯とうぐいす豆がのっています。
女の子は次に豆まきをしたいと言い出しました。おにたは、女の子の願いをどうやって叶えるのでしょう・・・。
節分の名作絵本です。