2024.02.04
松谷みよ子 作 石倉欣二 絵 にっけん教育出版社 2005年
まっ赤な体に、ぎょろりとした目と大きなつののおそろしい顔の赤鬼がいました。
その赤鬼はたいこが大好きでした。割れるような音で太鼓をたたいては悦に入っていました。
ところが誰もきいてくれるものはありません。そこで、山じゅうのけものを集めてこのうまい太鼓をきかせてやろうと思い立ちました。
「あつまれえ」と大きな声で叫びました。動物たちはこわごわ赤鬼のところに集まりました。
赤鬼はいい気持で太鼓をたたきます。その音のものすごさに、動物たちは次々と逃げ出しました。それにも気づかす、赤鬼は太鼓をたたき続けています。ようやく誰もいないことを知って・・・
怒りに怒りました。わめきながら岩を投げつけ、木を引き抜きました。でも、誰も出てはきません。
悲しくなった赤鬼は滝のような涙をこぼして泣き出しました。どのくらい泣いたのでしょうか。いつのまにか、山の神さまが立っていました。そして、雷さまのところに行けば好きなだけ太鼓がたたけるぞと、言いました。
太鼓を持って空へ向かった赤鬼。しばらくすると遠い空からゴロゴロゴロとかわいらしい音がきこえてきたそうです。