2024.02.10
あまんきみこ 文 荒井良二 絵 にっけん教育出版社 2001年
このところ、凧をあげている光景に出会わなくなりました。
お父さんがお手本を見せて子どもたちがまねをしながら凧あげのコツをつかんでいくのは、ほほえましいシーンです。
とんがり山の山奥にたぬきの一家が住んでいました。父さんだぬきと母さんだぬき、そして五つ子の子だぬきです。
ある朝、子だぬきたちが目を覚ますと、大きな凧が置いてありました。春が来たら凧をつくってやるという約束を父さんが守ってくれたようです。
朝ごはんがすんで、子だぬきたちと父さんは野原に出かけました。
五ひきは凧糸をしっかり握りました。
「よーい、どん!」
五ひきは走り出しました。凧はくいくいあがります。
「たこ、たこ、あがれ、天まで、あがれ」
凧はどんどんあがっていき、雲を抜けて、天まで!
そこへ天の神さまがやってきて、凧とお菓子を取りかえようと言います。
「だ、め!」
それじゃ、おもちゃは?
「だ、め!」
天の神さまは笑いながら、「きみたちのたこは、たしかに せかいいち。さあ、はるかぜに のって おかえり。父さんが、したで まっているぞ」
父さんは涙をためて子だぬきたちを抱きしめてくれました。
おうちでは、母さんがドーナツをいっぱい作って待っていてくれました。