2024.02.20
神沢利子 作 平山英三 絵 福音館書店 1985年
雪が野原にも山にも降り積もりました。
冬ごもりの穴の中で、くまのかあさんは双子のぼうやを産みました。ぼうやたちは、おっぱいを飲んでくうくう眠って大きくなりました。
ある日、ぼうやはたずねました。「かーん かーんって なんの おと?」
きこりが木を切る音でした。
「ほっほー ほっほーって なんの おと?」
ふくろうの声でした。
「つっぴい つっぴいって なんのおと?」
小鳥の声でした。
「どどー どどーって なんの おと?」
なだれの音です。もうすぐ春が来るのです。
「ぽとん ぽとんって なんの おと?」
つららのとける音です。春はそこまで来ていました。
あたたかい春風が吹いて、花の匂いを運んできました。かあさんとぼうやのくまたちは明るい外に出ていきました。