絵本日記「1年365冊」

『みどりのふえ』 | 言の葉のうつわ

『みどりのふえ』

2024.03.19

あまんきみこ 作  おぐらひろかず 絵  フレーベル館 2007年

えっちゃんはよもぎの野原で探し物をしています。新しいみどりのふえを落としたのです。

おや、林のほうからふえの音がきこえてきました。

音がしていたのは真ん中の広場です。くまのこ、うさぎのこ、りすのこ、たぬきのこ、さるのこ、しかのこがいます。

動物の輪の中できつねのこがみどりのふえを吹いています。

 ―あたしの ふえみたい

へたっぴいだけれど、楽しそう。きつねのこがおじぎしたとき、えっちゃんも拍手をしてしまい、動物たちに気づかれました。

えっちゃんも「はるのおんがくかい」に加わることになり、さるのこのラッパ、しかのこのトライアングル、うさぎのこの歌、くまのこのハーモニカ、りすのこはカスタネットを鳴らしました。

最後はえっちゃんです。えっちゃんが困っていると、きつねのこがぼくのふえを貸してあげると言いました。

えちゃんは覚えたばかりの「はるがきた」を吹きました。すると、拍手、拍手、拍手、拍手。えっちゃんは優勝して、スミレとタンポポの花束をもらいました。

きつねのこが言いました。「そのふえ、いい おとが でるでしょう。ぼくの だいじな たからもの。さっき みつけたんだよ。」

えっちゃんは古いふえを思い出しました。

 ーあれが、まだ つかえるよ

「ほんとうに、いい ふえね。」

えっちゃんは花束をだいて、はずむように帰っていきます。

 ーこんど、いっしょに ふきたいなあ。

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