2024.03.19
あまんきみこ 作 おぐらひろかず 絵 フレーベル館 2007年
えっちゃんはよもぎの野原で探し物をしています。新しいみどりのふえを落としたのです。
おや、林のほうからふえの音がきこえてきました。
音がしていたのは真ん中の広場です。くまのこ、うさぎのこ、りすのこ、たぬきのこ、さるのこ、しかのこがいます。
動物の輪の中できつねのこがみどりのふえを吹いています。
―あたしの ふえみたい
へたっぴいだけれど、楽しそう。きつねのこがおじぎしたとき、えっちゃんも拍手をしてしまい、動物たちに気づかれました。
えっちゃんも「はるのおんがくかい」に加わることになり、さるのこのラッパ、しかのこのトライアングル、うさぎのこの歌、くまのこのハーモニカ、りすのこはカスタネットを鳴らしました。
最後はえっちゃんです。えっちゃんが困っていると、きつねのこがぼくのふえを貸してあげると言いました。
えちゃんは覚えたばかりの「はるがきた」を吹きました。すると、拍手、拍手、拍手、拍手。えっちゃんは優勝して、スミレとタンポポの花束をもらいました。
きつねのこが言いました。「そのふえ、いい おとが でるでしょう。ぼくの だいじな たからもの。さっき みつけたんだよ。」
えっちゃんは古いふえを思い出しました。
ーあれが、まだ つかえるよ
「ほんとうに、いい ふえね。」
えっちゃんは花束をだいて、はずむように帰っていきます。
ーこんど、いっしょに ふきたいなあ。