絵本日記「1年365冊」

『ふるやのもり』 | 言の葉のうつわ

『ふるやのもり』

2024.04.26

瀬田貞二 再話  田島征三 絵  福音館書店 1964年

村はずれに住んでいるおじいさんとおばあさんはりっぱな仔馬を育てていました。

雨の降るある晩のこと、馬どろぼうが馬屋に忍び込み、梁にのぼって隠れていました。山のおおかみも仔馬を食べようと馬屋の土間のわらやまの中に隠れていました。

そうとは知らないおじいさんとおばあさんは二人でこんなことを話していました。

こんな晩にどろぼうが来たら怖い、山のおおかみも怖い。でも、いちばん怖いのは「ふるやのもり」じゃ。

これを聞いたどろぼうとおおかみは怖くなって体をちぢめていました。そこへ、雨がざんざと降ってきて、古い家のあちこちで雨漏りがぽつりぽつり。

「そら、ふるやのもりが でた!」と二人は叫びました。

どろぼうはおおかみの背中に飛び乗り、おおかみはふるやのもりにとりつかれたと思い込み、死にものぐるいで逃げ始めました。

野越え山越えおおかみは走り続けます。どろぼうは何とかしておおかみから離れなければと思い、大木の枝につかまって洞穴に隠れました。

おおかみは身軽になって仲間の元へ帰ってきました。一部始終を話し、けものの中でいちばん知恵のあるさるがふるやのもり退治にいくことになりました。

大木の洞穴にしっぽを入れました。するとどろぼうは木のつるかと思い、しっぽをどんどんたぐります。とうとう、さるのしっぽはぷつん!と切れてしまい、勢いでさるは顔中をすりむいてしまいました。

こんなわけで、おさるの顔はまっかっか。しっぽはぷつんなのだそうですよ。

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