絵本日記「1年365冊」

『はなかっぱ』 | 言の葉のうつわ

『はなかっぱ』

2024.05.07

あきやまただし  メディアファクトリー 2006年

あるところに、やまびこむらという小さな村がありました。その村のまんなかには、かっぱいけという世界でいちばんきれいな池があり、かっぱがすんでいました。

頭の上にはお皿のかわりにお花がさいているこの子は、はなかっぱくん。

おとうさんとおかあさんの頭にもお花が咲いています。おとうさんにはひまわり、おかあさんにはたんぽぽです。おじいちゃんには、はすのはな。おばあちゃんにはかすみそう。

はなかっぱくんが今日も元気で、頭のお花も元気なのは、かっぱいけのきれいな水のおかげです。もしも水がきれいでなかったら、お花はすぐにしおれてしまいます。やまびこむらの空気がきたなかったら、やっぱりお花はしおれて散ってしまいます。

おじいちゃんは池の水がきれいかどうか、いつも調べます。頭の花がぱっと咲いたらきれいなしるし。おばあちゃんのあたまのかすみそう風があたるだけで100日さきの天気予報までわかってしまいます。おとうさんは頭のひまわりが種をつけると、いろいろなところにまきます。おかあさんはたんぽぽが綿毛になると静かに風にのせて遠くまで飛ばします。

はなかっぱくんがおじいちゃんに聞きました。「ぼくの あたまの おはなって なんなの?」おじいちゃんは「おまえが おおきくなって、なりたい じぶんに なれたときに はじめて どんな はなに なるかが きまるのじゃ。たのしみじゃのう」

きっといつかはなかっぱくんにぴったりのお花がみつかることでしょう。

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