絵本日記「1年365冊」

『まねっこでいいから』 | 言の葉のうつわ

『まねっこでいいから』

2024.05.17

内田麟太郎 作  味戸ケイコ 絵  瑞雲舎 2009年

だっこをしらない女の子でした。女の子の心の中にはいつも冷たい雨が降り続けていました。

女の子はお母さんになりました。赤ちゃんも女の子。でも、お母さんは赤ちゃんを抱くことができませんでした。ただ、黙って子どものそばにいました。

少し大きくなった女の子は「ママ、まねっこでいいから、だっこして」と言いました。「・・・まねっこでいいならね」とお母さんは娘をだっこしました。とっくん、とっくんという心臓の音も互いに聞き合いながら、

次の日も娘はまねっこのだっこをおねだりしました。

お庭ではいぬやねこやうさぎたちがだっこして遊んでいます。

二人はそれを見て、笑いました。お母さんは娘をだっこします。

お母さんの心に降っていた雨が、ゆっくりとあがっていきました。

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