絵本日記「1年365冊」

『みててね、おじいちゃん』 | 言の葉のうつわ

『みててね、おじいちゃん』

2024.06.15

藤田千津 作  長谷川知子 絵  文化出版 2002年

たっくんのおじいちゃんはお豆腐屋さん。

二人はとっても仲良し。たっくんはおじいちゃんが見ててくれると、何でもできちゃう。自転車の補助輪をはずして乗れるようになったし、鉄棒のさかあがりだってできるようになった。

おじいちゃんは毎日はりきってお豆腐を売っている。

 「へ、まいど。パワーの みなもと、豆ちゃんどうふ。うまいよー。」

夜中にパパが大声を出している。「おやじ、おやじったら!!」おじいちゃんは救急車で運ばれていった。

朝、元気に送り出してくれるおじいちゃんがいない。学校から帰ってもだきしめてくれるおじいちゃんがいない。

たっくんは病院にお見舞いに行った。左手と左足に力が入らないから、リハビリをしないといけないとお医者さんに言われたそうだ。

弱気なおじいちゃんを、こんどはたっくんが励ます番だ。ぼくは風の日も雨の日も洗濯物を届けた。晴れた日はお花を摘んで。

おじいちゃんはリハビリをする気持ちになってくれた。がんばったおじいちゃんにお医者さんが「退院していいですよ」と言ってくれた。

おじいちゃんがお家に帰って来た。杖をついて歩くおじいちゃんはポケットから何かを取り出した。豆腐屋のラッパだ。おじいちゃんが吹いた。力強い音が鳴った。

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