2024.06.25
ピーター・レイノルズ 作・絵 かとうりつこ 訳 主婦の友社 2010年
ローズは特別なティーポットに乗って、世界中を回る旅に出ました。
いろいろな国のいろいろな場所で花の種を集めました。ティーポットはお花の種でいっぱいになりました。
そろそろ じぶんの にわを つくってみようかな。
海の向こうの大きな町をめざして、ティーポットで川を上っていきました。
町はコンクリートだらけ。歩きまわっているうちに、さびしい場所にでました。そこだけ、土がむき出しになっています。
ローズは土を耕し、種をまく準備をしました。ところが、ティーポットの中の種はたくさんの鳥たちが食べてしまっていました。残ったのはわずかです。その種をまいてローズは来る日も来る日も待ちました。春がやって来ても、芽は出ません。
すると、小さな女の子が紙で作った花をローズに差し出しました。続いて、小さな男の子も。それから、毎日、子どもたちが紙で作った花を持ってやって来ました。ローズの庭は紙の花でいっぱいになりました。
あるとき、花の中を歩いていると、ぶんぶんというみつばちの羽音がきこえました。本物の花が咲いているのです。その横にも、その横にも本物の花が。
ローズは紙の花と本物の花に囲まれています。旅をするのも、もうおしまいです。