絵本日記「1年365冊」

『ローズのにわ』 | 言の葉のうつわ

『ローズのにわ』

2024.06.25

ピーター・レイノルズ 作・絵  かとうりつこ 訳  主婦の友社 2010年

ローズは特別なティーポットに乗って、世界中を回る旅に出ました。

いろいろな国のいろいろな場所で花の種を集めました。ティーポットはお花の種でいっぱいになりました。

 そろそろ じぶんの にわを つくってみようかな。

海の向こうの大きな町をめざして、ティーポットで川を上っていきました。

町はコンクリートだらけ。歩きまわっているうちに、さびしい場所にでました。そこだけ、土がむき出しになっています。

ローズは土を耕し、種をまく準備をしました。ところが、ティーポットの中の種はたくさんの鳥たちが食べてしまっていました。残ったのはわずかです。その種をまいてローズは来る日も来る日も待ちました。春がやって来ても、芽は出ません。

すると、小さな女の子が紙で作った花をローズに差し出しました。続いて、小さな男の子も。それから、毎日、子どもたちが紙で作った花を持ってやって来ました。ローズの庭は紙の花でいっぱいになりました。

あるとき、花の中を歩いていると、ぶんぶんというみつばちの羽音がきこえました。本物の花が咲いているのです。その横にも、その横にも本物の花が。

ローズは紙の花と本物の花に囲まれています。旅をするのも、もうおしまいです。

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