2024.06.27
ジャンヌ・アシュべ 作 野坂悦子 訳 光村教育図書 2012年
昨日も今日も、ローズは悲しい顔をしている。ソランはこの女の子の名前を知らないけれど、上着がきれいなローズ色だったので、「ローズ」と呼んでいる。
ローズの目に映っているのは、止まった時間。この赤れんがの町にやってくる前のこと。
ソランだって覚えている。戦争、難民キャンプ、大勢でトラックの荷台に乗ってこの町に着いた日のこと。
ぼくに自転車をみつけてくれたレオニさんに頼んで、ローズのために自転車を探してもらおう。そして、ローズ色に塗ってあげるんだ。
二人で走り回れば、気持ちのいい風がきっと心の中に吹き始めるよ。