2024.07.03
にしまきかやこ 絵と文 こぐま社 1977年
さっちゃんは大急ぎで朝ごはんを食べました。今日はゆっくりなんてしていられないの。
さっちゃんの口のまわりは卵の黄身でくわんくわん、手のひらはいちごジャムでべたべた、エプロンはとりのスープでしみだらけ。
さっちゃんは元気よく家を飛び出し、野原に向かって走ります。
橋の上に座っていたきつねの子が目玉焼きのにおいがするとさっちゃんを通せんぼしました。さっちゃんはそんなに目玉焼きが食べたいならあたしの家に行ってごらんと言いました。
林の中で出会ったのはくまの子。イチゴジャムをなめさせてと言うので、あたしの家に行けばまだあるよと答えました。
野原ではおおかみの子がとりのスープのにおいがすると近づいてきます。さっちゃんはやっぱり家に行けばあるよと伝えます。
それから、さっちゃんは野原のお花を両手いっぱいに摘んで家に帰りました。
家にはきつねの子、くまの子、おおかみの子がいて、お皿やお鍋をべろべろなめています。さっちゃんはお母さんにお花を渡し、だっこしてもらいました。
すると、きつねの子とくまの子は、おかあさんにだっこしてもらおうと帰っていきました。
でも、ひとり残ったおおかみの子は泣いています。おおかみが小さい時にお母さんが死んでしまったのです。
そこでさっちゃんのお母さんがおおかみの子をだっこして、よしよししてあげました。元気になったおおかみの子は帰ります。ドアのところで振り返って言いました。
「おかあさん また こんど だっこしてね」