2024.07.04
デミ 作 さくまゆみこ 訳 光村教育図書 2009年
むかしのインドのお話です。
ある地方の王様は人々からとれたお米のほとんどを納めさせていました。飢饉の年がやってきたときにみんなに分けるためだと王様は言います。
人々は手元に残ったわずかなお米でほそぼそと暮らしていました。
ある年、飢饉がおこりました。しかし、王様は米蔵の米を人々に分け与えようとはしません。それどころか、宴会を催すことにして、ぞうに米蔵から米を運ばせることにしました。片方のかごからお米がこぼれ落ちています。
村娘のラニーは落ちてくるお米をスカートで受け、宮殿に行きました。こぼれたお米をお届けに参りましたというと、王様は感心して、ほうびをとらせようと言います。そこで、ラニーは「お米を1つぶください。そして、30日の間前の日の倍の数だけお米をいただけませんか?」と申し出ました。
最初の日は1つぶ、翌日は2つぶ、次の日は4つぶ、9日目になると256つぶ、12日目は2048つぶ、21日目にはお米はかご1杯分になりました。27日目には64かご分、29日目には米蔵2つ分のお米をもらいました。そして、30日目になると残っていた4つの米蔵のお米を256頭のぞうが運んできました。
王様の米蔵はどれもからっぽになってしまいました。ラニーは人々にお米をわけました。
心を入れかえた王様は賢くて正しい行いをする本当の王様になったのです。
それにしても、30日の間、前日の倍のお米をもらい続けると、最後の日のお米は536,870,912つぶ、合計すると1,073,741,823つぶにもなるなんて、驚きです。