絵本日記「1年365冊」

『ひとのなみだ』 | 言の葉のうつわ

『ひとのなみだ』

2024.07.09

内田麟太郎 文  nakaban 絵  童心社 2024年

今日7月9日は岐阜に空襲のあった日です。79年前、アメリカ軍の爆撃によって、900人が犠牲になり、2万軒の家が焼けました。岐阜市では、毎年この日に「平和の鐘式典」が開催されます。

大切な祈りの日に、内田麟太郎さんの最新刊をご紹介します。

大統領が叫んで戦争が始まる。

でも、ぼくは行かない。ロボットの兵隊が攻めていく。小さな国へ。遠い国へ。

テレビには倒した敵の数字が流れていく。

ぼくたちは、うすうす知っていた、ロボットがしていることを。知らないふりをして遊び続けた。

突然、テレビに戦場が映った。知ろうとしなかった戦争の本当の姿が映った。

忘れていた子どもの頃が蘇ってくる。

ロボットにされていたぼくたちの心に、親を呼ぶ子どもの声が、子を呼んでいる親の声が、聞こえてくる。

   すこしずつ すこしずつ ぼくたちは ひとに もどっていく

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