絵本日記「1年365冊」

『にゃんごろおうさまのでんわ』 | 言の葉のうつわ

『にゃんごろおうさまのでんわ』

2024.08.04

こわせたまみ 文  いもとようこ 絵  偕成社 1993年

ねこのおうさまは、ごきげんなときにはのどを鳴らします。

ある日、にゃんごろおうさまの国に初めて電話が引かれました。おうさまはいろいろなところに電話をして、うれしくてたまりません。

「にゃんごろ ごろ ごろ」

すっかり電話が気に入ったおうさまに、家来が言いました。「くにじゅうの ものたちも おおよろこびで つかっております。」

それを聞いたおうさまは怒り出しました。みんながつかっているのはけしからんと言うのです。

くにじゅうの電話がひとつ残らずお城に運びこまれました。

たくさんの電話を前にして、おうさまは電話がかかってくるのを待っています。でも、電話がかかってくるはずはありません。

そのうち、おうさまは怒って怒ってあんまり怒ったので、頭がひどく痛くなってきました。医者からも薬屋からも電話をとりあげたので、かけることができません。

病院に運ばれたおうさまは、みんなに電話を返すように家来に命じました。

「もしもし おうさま、おかげんは いかがですか?」あちこちから電話がかかってきます。

みんなの声を聞いて、おうさまはすっかり元気になりました。

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