2024.08.19
あまんきみこ 作 広瀬弦 絵 PHP研究所 2016年
チイばあちゃんは白髪まじりの髪をお団子に結っています。そして、ノースリーブのピンクのワンピースを着ています。とってもチャーミングですね。
このまえの水曜日、チイばあちゃんは、とらねこたらたに、仲良しのともちゃんとようくんは夏休みになって海の家に出かけて行ったと話しました。
とらたは海も船も知りません。
「ぼく、いきたい。ぼく、みたい」と言うと、大きな画用紙を持ってきて、海の絵と船の絵を描いてほしいとチイばあちゃんに頼みました。チイばあちゃんは広い海に浮かぶ船、そして、とらたの好きなお魚の絵も色とりどりのクレヨンで描きました。
とらたはますます海に行ってみたくなりました。
おや、いつのまにかとらたがいなくなっています。
画用紙の絵をよく見ると、船のへさきにとらねこが立っています。チイばあちゃんがねこの絵のひげをさわろうとすると、ねこの顔がこちらを向きました。
「ふわあああ」あたりがいっぺんにまぶしくなって、チイばあちゃんは目を閉じました。
目を開けると、船に乗っています。へさきにはとらたが。二人の乗った船はぐんぐん進みます。すれ違う船にはともちゃんとようくんが乗っていました。みんなで手を振りあいました。
とらたがデッキから身を乗り出し、魚をみつけて海へとびこむと、チイばあちゃんも続きました。
はっと見回すと、チイばあちゃんは椅子に座っています。目の前には海の絵が。
とらたは、ちゃんと海に行けたし、魚も食べたと舌なめずりをしながら言っています。チイばあちゃんは慌てて魚の数を数えると、いっぴき足りない・・・。
すると電話がなりました。ともちゃんからです。
「もしもし、あのね、さっき ふねに のってたら、チイばあちゃんたちに、あってね・・・」