絵本日記「1年365冊」

『あきちののはらのおくりもの』 | 言の葉のうつわ

『あきちののはらのおくりもの』

2024.08.24

かわかみたかこ  理論社 2024年

今日はふうこのお母さんのお誕生日。

お母さんといっしょにいつも行くお店にお買い物に出かけました。

お店には素敵なものがいっぱい。きれいなお洋服、美味しいおやつ、きらきらのアクセサリー。そして、いいにおいのお花。

ところがふうこの持っているお金ではどれ一つ買えません。

ふうこのお母さんはお友だちとのおしゃべりに夢中。ふうこは野原で待つことにしました。

お店の隣りの小さな空き地の野原には小さな花がよりそって咲いています。

紫のお花のにおいをかぐと、紫色のお花の森が広がりました。同じくらいの背丈のありさんがふうこの名前を呼びます。

「なんで ふうこのこと しってるの?」

「ほら、いつも おとなりに かいものにきているでしょう」

森を抜けて歩いていくと、のれんのかかった食堂が。ちょうちょの店員さんが忙しく飛び回っています。

薄くて白いカーテンが揺れているところは、くもの保育園でした。ふうこはくもの子どもたちがちゃんとお昼寝ができるようにお手伝いをしました。

ふうこはしろつめくさの茎をのぼって、お花にすっぽりと包まれました。紫の森も、食堂も、保育園も見え、空き地の野原ぜんたいが花束のように見えます。

そのとき、ふうこを呼ぶ声が。お母さんでした。

ふうこはお母さんにかけよって言いました。

「おかあさん、おたんじょうび おめでとう」

「はい、ふうこからの プレゼント」

ふうこはおかあさんに花束のような野原を見せました。

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