2024.10.24
さとうわきこ 偕成社 1980年
ちいさいねずみは、まあるいお月さんを見て、「お月さん、あんたはチーズでしょ」と言った。
まあるいお月さんは笑っているだけ。
お腹が空いているねずみは、チーズのようなお月さんをかじらせてもらおうと思い、大急ぎで家の屋根にのぼった。けれど、お月さんはもっと高いところで笑っていた。
それからは、お月さんは影も形もない雨の晩もあったり、細い三日月の夜もあったり。
いくばんか過ぎると、またお月さんが現れた。
なかなかお月さんに届かないねずみは栗やくるみやドングリを食べてお腹いっぱいになった。そして、山の上の木の根っこに住みついたネズミには連れ合いができ、こどもは十二ひき。
お月さんは笑ってゆっくりねずみたちの上を通り過ぎていく。