2024.11.19
コレット・ニース=マズ―ル 作 エステル・メーンス 絵 柳田邦男 訳 文渓堂 2009年
わたしはネリー。あの日たいへんなことが起き、パパとママはいなくなった。わたしとピーターとアンナの三人は別々に親戚の家で暮らすことになった。
毎週土曜日におじいちゃんの家に行く。そこでは弟のピーターがいて、ナンシーおばさんの家にいる妹のアンナもやって来て、三人がいっしょになる。日曜日の夜には別れるけれど、私たちは毎日こころで会うことにしているの。
おとなの人たちはパパやママのことを話してくれる。写真も見せてくれる。
わたしはときどきピーターとお墓に行ってパパとママにあいさつをする。
夜になると、あの事故が起きる前の日々のことを思い浮かべる。なんであんなことが起こったのだろう。パパとママが今もいたら、どんな毎日になっているだろう。
わたしがおとなになったら子どものたくさんいる家庭にしたい。
家には、窓もドアもいっぱいあって、風がやさしく通り抜け、星空も眺められる。おさない子も大きな子も、だれでも自由にはいってこられる。
「いらっしゃい」わたしは声をかけるわ。
「あなたも家族よ」