絵本日記「1年365冊」

『かかしのじいさん』 | 言の葉のうつわ

『かかしのじいさん』

2024.12.06

深山さくら 文  黒井健 絵  佼成出版社 2009年

かかしのじいさんは頑固者。でも、とっても優しい。

すずめたちに、米の花をくっちゃならねえぞと言っても、効き目はない。

秋風が吹いた日のこと。一羽のすずめが桑の実を運んできて、じいさんの口の中に突っ込んだ。うまいのか、うまくないのかちっともわからないが、お腹の中にぽっと灯りがともったような気がした。

ある日、お百姓がやって来て、かかしじゃ役に立たないから、カスミ網をかけようと言う。かかしのじいさんは「すずめらが、わしの いうことを、きかんからじゃ。はっはっは」と笑ってみたものの、腹の中がずーんと重たくなった。

知らせてやらねば!じいさんの声はたんぽぽのわたげに乗ってすずめたちに届いた。

「すずめー、かすみあみが かかるぞー」

「ここには、くるんでねえぞー」

「めんこい めんこい すずめよー」

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