2024.12.06
深山さくら 文 黒井健 絵 佼成出版社 2009年
かかしのじいさんは頑固者。でも、とっても優しい。
すずめたちに、米の花をくっちゃならねえぞと言っても、効き目はない。
秋風が吹いた日のこと。一羽のすずめが桑の実を運んできて、じいさんの口の中に突っ込んだ。うまいのか、うまくないのかちっともわからないが、お腹の中にぽっと灯りがともったような気がした。
ある日、お百姓がやって来て、かかしじゃ役に立たないから、カスミ網をかけようと言う。かかしのじいさんは「すずめらが、わしの いうことを、きかんからじゃ。はっはっは」と笑ってみたものの、腹の中がずーんと重たくなった。
知らせてやらねば!じいさんの声はたんぽぽのわたげに乗ってすずめたちに届いた。
「すずめー、かすみあみが かかるぞー」
「ここには、くるんでねえぞー」
「めんこい めんこい すずめよー」