2025.02.10
浅沼とおる 鈴木出版 2002年
岩の上でかもめのはちろうが休んでいると、蚊が飛んできてはちろうの背中をチクリとさしました。
「かゆいよ かゆいよ」くちばしをのばしても、背中には届きません。
そこへひょっこり顔を出したたこのたこきちに頼みました。
「ぼくの せなかを かいてくれ」
「うひー きもちいい」
すると、とびうおたちも言いました。
「ぼくたちの せなかも かいておくれ」
たこきちは8本の手足をつかってとびうおたちの背中をかいてやりました。
こんどは、うみがめのうみぞうさんが「せなかが とっても かゆいの」。
続いて背中をかいてほしいと言ったのはくじらのはなこさん。
そこへ大きな波がどっぷーんとやってきて、「わしの せなかも かいてくれー」。
海の声でした。広い海の背中って、どこにあるのか、みんな困ってしまいました。