絵本日記「1年365冊」

『ひめねずみとガラスのストーブ』 | 言の葉のうつわ

『ひめねずみとガラスのストーブ』

2025.02.19

安房直子 作  降矢なな 絵  小学館 2011年

1969年に発表された安房直子さんのお話が降矢ななさんの絵とともに、素敵なファンタジー絵本になりました。

雪の降る寒い日は風の子でも震えています。

風の子はくまストーブ店で小さなストーブを選びました。そのストーブはガラスでできていて、とてもきれいです。

風の子フーは家に帰ってさっそくストーブをつけました。みかん色の光、みどり色のあたたかさ。

するとそこにひめねずみがやって来ました。ひめねずみはお料理が上手。おいしい夕食を作ってくれ、二人はいっしょに暮らすことにしました。

いく日かがすぎたとき、新しいお客がやって来ました。風の子のオーロラです。日の暮れない国から来たオーロラには暗い夜は珍しいようです。

フーはその国を見てみたいと思いました。すぐに帰ってくるからとひめねずみに約束して鳥のように飛んでいってしまいました。

ひめねずみはストーブの番をしながらフーの帰りを待ち続けました。

いく日も過ぎたあるとき、オーロラがおいていったコーヒーを飲んでみようと思い立ちました。そのコーヒーの香りは森じゅうに広がり、五十匹のひめねずみが集まってきました。

何年も経ったとき、フーは森が恋しくなって遠い国から走って帰ってきました。家には何千びきものひめねずみがいるではありませんか。

ぼくのひめねずみを知らないかい?とたずねると、それはひいおばあちゃんのことだわと。ひいおばあちゃんになったひめねずみは死んでしまっていました。

フーは地面に腹ばいになって頬杖をつきました。(ぼくはほんとにおとなになったんだ)

「さよなら」そう言って、フーは目に見えないただの風になっていました。

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