2025.02.26
安房直子 作 ひろかわさえこ 絵 偕成社 2006年
表紙絵で、女の子がみつめている森が「声の森」。この森には「ひとまねの木」である古いかしわの木々がうっそうと生い茂っているばかり。迷い込むと、どんな動物もいくつものこだまにおびえ、力尽きてしまうのでした。
この森からそう遠くないところに一軒の開拓農家があって、その家にはつぼみちゃんという女の子がいました。
ある日、一羽のおんどりが、つぼみちゃんが呼んでもそっぽを向き、森をめざして飛び立ったのです。つぼみちゃんは慌てて追いかけ、とうとうおんどりとつぼみちゃんは声の森に入り込んでしまいました。
森はおんどりのまねをしました。まるで木という木ににわとりが止まっているかと思われるほどでした。つぼみちゃんは両手で耳をふさぎ、口をぎゅっと結んで声を出さないようにしました。
進んでいくと、たおれているおんどりをみつけました。つぼみちゃんは森にきかれないように小さな小さな声でこもりうたを歌いました。
けれども耳ざといかしわの木々はまねを始めました。森の歌声はいつもまにか素晴らしい輪唱になり、かしわの木々はいい気分になってとろんと眠くなってきました。そして、森の歌声はふっと消えてしまいました。
つぼみちゃんはおんどりをだいて、家にもどってきました。
声の森にはいって、生きてかえれたのは、この女の子とにわとりがはじめてだそうです。