2025.03.04
志茂田景樹 作 石川あゆみ 絵 Kiba Book志茂田景樹事務所 2003年
丘の上に立つ教会の軒下に、年をとったはとが住んでいました。
ある日、すずめのひなをさらったからすが教会の鐘の音に驚いて、くわえていたひなを落としてしまいました。はとはひなを草むらにあるひばりの巣に入れてやりました。
大きくなっていくすずめ。でも、ひばりたちとは体つきも違い、きれいな声でさえずることもできません。
はとはそんなすずめを懸命に励ましました。いつか、ひばりたちは巣立ちをしていなくなりました。
すずめは毎日軒下にいるはとに会いに来て、さえずりました。はとは「いいぞ きのうより ちょっと たかく まいあがっているぞ」といつもほめてくれました。
こがらしの季節になると、はとは牧師さんがまいてくれるパンくずを食べに降りてくることもできなくなりました。
おいしいぶどうパンのくずをくわえると、すずめははとの所まで運んで口移しに食べさせてやりました。
はとはおいしそうにゆっくり食べ終えると、笑顔でお礼を言い、ことっと首を下げました。
教会から、はとといっしょによく聞いた讃美歌のピアノの調べが聞こえてきました。すずめは高く舞い上がって、声の続く限りさえずりました。
そうすることが天国に旅立ったはとの見送りになると信じたからです。