2025.03.17
あまんきみこ 作 安井淡 絵 岩崎書店 1976年
小さいカヨはヒデリコの野原で真っ白いこいぬを拾いました。
おかあさんは、「こんなに かわいいのに すてられたのねえ」と言いました。
カヨは首を振って、空から落っこちたんだと答えました。
この子、くもいぬなの。かあさんぐもが しんぱいして おろおろしていたからね。あたし、すぐ わかったの。
その日からカヨとシロはいっしょ。カヨはシロの歌を作り、いつも歌ってやりました。
ところが、春を過ぎたころから、カヨはぼんやりしていることが多くなり、あの歌も歌わなくなりました。そして、シロの首輪とくさりを買ってほしいとねだりました。
おかあさんが不思議の思ってたずねると、「だって、かえるって いいだしたの」
ある晴れた日のこと、野原でカヨが久しぶりにあの歌を歌っています。
そして、カヨはシロの首輪とくさりをはずしました。すると、銀色の階段が現れ、カヨは階段にシロを降ろしました。
シロはたちまち真っ白な風になったように、駆け上がっていきました。