2025.03.25
イブ・タイタス 文 ポール・ガルトン 絵 晴美耕平 訳 童話館出版 1995年
パリの近くのねずみ村で愛する奥さんのドーセットと可愛い6人の子どもたちと暮らしているアナトール。アナトールほど幸せなねずみはいませんでした。
毎日、夕闇が迫ると、父さんねすみたちは自転車に乗って家族のために食べ物を探しにパリに向かいます。
あるとき、忍び込んだ家でアナトールは人間たちの話を聞いてしまいました。
「なんていやらしい ねずみだこと!」
「ねずみは、生まれつき悪なんだ!」
アナトールはひどくショックを受けました。そして、人間の役に立てる方法はないかと考えます。
タイプライターで「さいこうにおいしい」から「まずい」まで5段階のカードを作りました。それを持ってチーズ工場に行くと、チーズを味見して、それぞれの評価のカードをピンで留めました。
翌朝、工場では大騒ぎ。誰が書いたんだろう?社長さんが味見をすると、チーズの味はそのカードの通りなのです。
おかげで商売は大繁盛。社長さんは誰なのかわからないこの相手に、好きな時に好きな地チーズを好きなだけ食べていいと手紙を書きました。
その手紙にはアナトールのことを「第一副社長 チーズ味み担当!」と書いてありました。
ねずみたちの物語ですが、そっくりそのまま人間の生き方にあてはめて考えることができる絵本です。