2025.04.09
川村たかし 作・文 村上豊 絵 文研出版 1976年
山奥に住むのっぽてんぐとちびてんぐはのんきでお人よし。優しい顔をしています。
かしらのてんぐは、どこかへ行って腕を磨いて来いと二人に言いつけました。
村はずれでは、欲深のたいぞうがおおてんぐのお面をかぶって待ちかまえていました。
たいぞうに命令されるままに、二人は逆立ちを練習したり、てんぐわらいやてんぐばやし、いろいろな技をけいこし、人々の前で披露しました。
そのお金はたいぞうがひとりじめ。たいぞうはどんどん太り、二人はやせていきました。
ある晩、たいぞうが持っているお金をふたりがみつけ、その光るものは何かとたずねました。たいぞうは腹いたの薬だと答えます。
大きな町についた暖かい春の夜のこと、たいぞうは酔っぱらって眠り込みました。二人はお面がはずれたたいぞうを見て、びっくり。
ちびてんぐがお面をかぶり、のっぽてんぐの頭によじのぼり、大きな布で体を覆いました。目を覚ましたたいぞうは本物のおおてんぐだと思って、ふるえています。
二人ははらいたのくすりを持って、山に帰っていきました。