2025.04.17
トーベ・ヤンソン 作・絵 岡村美恵子 訳 講談社 1988年
ムーミン谷に春がやって来ました。
かっこうが鳴いた朝、ムーミンが長い冬の眠りから目が覚めてごそごそと起き上がると、ともだちのスナフキンのベッドがからです。
ムーミンは大急ぎでスナフキンのあとを追いかけました。小川のほとりにいたスナフキンと二人で、こんどはスニフを起こします。
三人がいわ山にのぼると、黒いものがころがっているのに気がつきました。
それはシルクハットでした。山でみつけた素敵な帽子。パパがかぶってみましたが、大きすぎます。
そこで、さかさまにしてくず入れにしました。そこに卵の殻をぽいっと捨てると、ムーミンは外へ遊びに行きました。
そのうち、帽子の中の卵の殻はどんどんふくらみ始め、わたぐもになって外へ飛び出しました。
かくれんぼをしたとき、ムーミンはあの帽子に隠れました。出てきたときには、変な姿に変わっていました。みんなはムーミンだとは信じません。にせものだと決めつけます。
ムーミンは泣き声になって「みんなが しんじて くれなくても、ママには ぼくが わかるよね!」と訴えました。
ムーミンママはムーミンの目をじいっと見つめて言いました。「おまえは たしかに わたしの ムーミンぼうやだわ。」
あの黒い帽子は、中に入ったものの姿をかえてしまうまものの帽子だったのです。それで、みんなで川に捨てに行きました。
その夜、ムーミンとスナフキンは川まで行ってみました。すると、川の水がまっ赤に変わっています。
「わあ、木いちごの ジュースだ!」