絵本日記「1年365冊」

『わからんちんのココ』 | 言の葉のうつわ

『わからんちんのココ』

2025.05.23

はたたかし 文  長新太 画  福音館書店 1989年

「わからんちん」という言葉遣いに愛が感じられます。

ココは元気なにわとり。夜が明けると、「ぼく」のうちの畑にやって来て、なんでも、かんでも、ふんづけたり、ほじくりかえしたり・・・。

ときどき、ぼくは文句をつけてやるのだけれど、ココはいっこうに知らん顔。

ココが蹴飛ばした小石があたってパンジーが10本折れてしまっても、けっして腹を立ててはいけない。知らん顔して、ココに背中を向けてしゃがみこむ。すると、ココはこちらの様子を窺う。

ぼくはだまってどんどん土を掘っていく。真っ暗なトンネルのような穴ができる。ココが近づいてきても、気づかないふりをして、穴をのぞきこみ、このへんでいいだろうと思ったら、立ち上がって背伸びをする。ぼくは大根を1本引き抜いて、家へ入る。

ぼくのいなくなったのをみすますと、ココは穴の中をいっしょうけんめいのぞき込む。これで、1時間くらいはおとなしくしてくれるだろう。

こんな駆け引きをしながらも、ぼくとココはじつは仲良し。

黄色とオレンジ、緑中心に描かれた長さんの絵には生命力があふれていて、とりわけココの表情に見入ってしまいます。

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