2025.06.03
小手毬るい 作 たかすかずみ 絵 マイクロマガジン社 2019年
表紙には男の子の頭に子どものライオンがのっかっている絵が描かれています。
二人の友情の物語。
あるとき、川でライオンの子どもがおぼれていました、おとうさんが助け、家に連れて帰りました。
子どもライオンはワンダと名づけられ、ぼうやとワンダ仲良く暮らしました。
でも、とうとうワンダを草原に帰すときが来たのです。別れの朝、ぼうやはワンダを抱きしめました。そして、ワンダに自分が着ていた赤いセーターをかけてやりました。
次の日からワンダの旅が始まりました。おとうさんとおかあさん、おにいちゃん、おねえちゃんをあちこち探しまわります。しまうまに聞いても、きりんに聞いても、そうに聞いても、家族の居場所はわかりません。
赤いセーターを肩にかけたワンダは大人になりました。
時は流れ、よぼよぼになったワンダは海の近くでかもめにたずねました。かもめはワンダの家族を空のかなたで見かけたと答えました。
ワンダは岩の上によじ登って、空を見上げました。どうすれば空のかなたまで飛んでいけるのだろう。赤いセーターは風に飛ばされて飛んでいきました。
草原に落ちたセーターをみつけたのは一人の旅人。もしかしたら、これは・・・これは・・・「ワンダ!どこに いるんだ!ワンダ!」
ぼうや、ああ、ぼうやだ、ぼうや・・・・・・
そうして、ぼうやのひざの上から空の彼方へワンダはしずかに飛び立っていきました。