2025.06.22
わたなべゆういち 作・絵 フレーベル館 2017年
南の島にねことさかながいました。互いに好きなので、ねこは時々さかなの中に入ってねこざかなになります。
「こんやは まんげつだってさ」
「ほんと? じゃあ この さきの おつきみいわに いって、おつきみを しようよ」
ゆうやけいろの海をねこざかなはすいすい。すると、とつぜんたくさんの黒い手が現れました。おそるおそる近づくと、黒い頭がぬらっと出てきました。「こっちに おいで」
ねこざかなが海にもぐると、その気味悪いものがいっぱいいます。ねこざかなの体を包み込み、持ち上げて、海のおばけは歌い始めました。ねこもさかなもおばけの足にかみつきました。海のおばけは逃げようとしますが、ねこざかなは離しません。
そのとき、波の上に光がさしました。「しまった! いそがなくちゃ」おばけのようなものは、こうもりだこの親子でした。こうもりだこもおつきみいわに行くところでした。
みんなでおつきみをして、「まんげつの よるに またね」と別れました。