2025.07.10
なかがわちひろ 徳間書店 1997年
かなこのお父さんは遠い海で魚をとる船の船長さん。一度海に出ると何か月も帰ってきません。
夏休みに入ってすぐ。おとうさんの船が港に帰ってきました。おみやげは船のスクリューで足を一本なくした子どものたこ。
足が七本なので、かなこはななちゃんと名づけました。二人は大の仲良しになりました。どこに行くのにもななちゃんがついてきます。
とうとう学校にも来ることを許されました。ななちゃんは学校にもすっかりなじんで、人気者です。
月日が過ぎていくうちに、ななちゃんの元気がなくなってきました。ぼんやりして、海の絵ばかり描いています。
おかあさんが言いました。「そろそろ、おうちにかえりたいんじゃない?」次におとうさんが帰ってきたときに、かなこは頼みました。「つぎのおふねで、つれてってあげてね」
お別れの日、かなことななちゃんはぎゅっと抱き合いました。ちゅうもしました。
おとうさんのふねがだんだん遠くなっていきます。かなこは、心にぽっかり穴が開いたような気持ちになりました。
ところが、お家へ帰ると・・・冷蔵庫の中に、おとうさんのおみやげの迷子になったペンギンの子が座っていました。