2025.08.04
森はな 作 梶山俊夫 絵 PHP研究所 1982年
炎暑という表現がぴったりの日々ですので、さむーい冬の絵本で少し涼しくなりたいと思いました。
いちばん寒い時期。山にすむキツネたちにとっても食べ物のない厳しい季節です。「のせぎょう」という年中行事を題材にした絵本です。
子ギツネはおなかがすいたとなきます。かあさんギツネは外にでました。一面の雪のなか、にわとりをいただいてこようと村をめざします。が、一軒のお百姓の家では犬にほえられ逃げました。
こんどは池に行きましたが、池は岸まで凍りついています。かあさんギツネはしかたなく穴に帰りました。
あくる日、今日こそはと日が暮れてから外に飛び出しました。
すると、おいなりさまの森からかねと太鼓が聞こえてきます。今日は大寒、「のせぎょう」の日だったのです。
「こんこんさまにさしあげそうろう こんこんさまにさしあげそうろう」と村の子どもたちがキツネの好きなあずきめしとあぶらあげとかわじゃこをおいなりさまに供えています。
子どもたちが遠ざかると、かあさんギツネはごちそうをくわえて雪の上をすべるように走り、穴にもどりました。
子ギツネはおいしそうに食べるのをかあさんギツネはなみだをためて見守っていました。
そして、かあさんギツネは子ギツネの背をなでて、やさしく子守歌をうたいました。