2025.08.07
ティエリ―・デデュー 作・絵 柳田邦男 訳 講談社 2008年
アフリカの奥地にある村。今日は祭り。成長した少年たちが戦士になる特別な日。だから、少年ヤクーバにとっても大事な日。
戦士になるには、ライオンとたった一人で戦って倒し、たくましい勇気があることを示さねばならい。
ヤクーバは槍をもって長い間待ち伏せをしていた。一頭の年老いたライオンが現れた。ヤクーバは構えた。
ヤクーバとライオンの目が合った。ライオンは語りかけてくる。「おまえには二つの道がある。」ライオンを殺してりっぱな男になったと言われること。もう一つは殺さないこと。ヤクーバは気高い心を持った人間になれるが、村では仲間外れにされるだろう。
ヤクーバは夜明けまで待って、力尽きて横になっているライオンに眼差しを向け、くるりと向きを変えて村に戻っていった。仲間の少年たちは名誉ある戦士になり、ヤクーバは牛たちの世話をすることになった。
村の牛たちは二度とライオンに襲われることはなかった。